第41章 ジェイドさんと旅行1日目
前に住んでいた町とグランコクマしか知らない私にとっては、夢のような話だった。
過密スケジュールをジェイドさんは着々とこなして、全く知らない間に用意された天井に付きそうなほどの雑誌やパンフレットにびっしり付箋が貼られ、全くわからないままチケットが手渡され、これまた全く気づかない間に、
「これ、ルルさんに似合うと思って、買ってしまいました。」
と猫なで声で言われ、分厚い生地のワンピース、ふわふわとしな毛皮のついたコート、レースが編み込まれたニットタイツとセーター…。
「被るとうさぎさんになるんですよ。」
と言われるが儘に着せられ、フードを被された。
「ああ、凄く可愛いです…そそられます…。」
「そ、そそられません…っ!」
ジェイドさんはとても楽しみにしているようで、私だけが楽しみなのではないんだなぁと安心させてくれた。