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あなたと愉快な仲間たち

第10章 昔話〜濵田崇裕〜 *





両親が離婚したのは俺のせいだった。


二人の仲を壊したのも、
母親が俺を拒否したのも!

すべて俺に原因があるからだ。


『今日からこのボロアパートに住むねんで』
崇「ここに〜?狭いなぁ…古臭いしぃ」


当時まだ小学4年だった俺は、
母親と離れるのが精神的に辛かった。


それでも明るかった父親は、

俺がダンスを続けるため、生活のためと
がむしゃらに働いた。

帰りは毎日遅かったけれど、

『じゃ、行ってくるな!』


そう言っていつも笑って、
仕事へと出掛けるのがオトンやった。


一人ぼっちは寂しかったけど、

勉強してダンス練習して、
そうして寂しさを紛らわせてた。


正直、俺はオカンの顔なんて
ほんの少ししか覚えてへんかった。


俺の事を毛嫌いしていて、

離婚したときも親権は要らんと
荷物持ってさっさと出てったオカン。



『崇裕、もうすぐ夏休みやろ』
崇「おん。課題がたくさんあるねん」
『そっかあ…』
崇「せやからお出かけなんてしてる暇ないねん」


へへへ、と笑う俺に
切なそうな顔をするオトンの顔が

俺は今でも忘れられへんねん。

『ごめんな…崇裕』
崇「なんで謝るねん!ええで全然!」


せやからオトンも、無理せんといてな


その一言がすぐに出なくて、
喉の奥で詰まって


崇「…オトン、はよ寝た方がええんちゃう」
『おん、もう寝るわ〜。』




ほんまは寂しいんやって、

もっとそばに居て
ご飯も一緒に食べたいねんって。



なんでこの時伝えられへんかったんやろ?


伝えられていたらきっと、

俺はこんな思いを抱えずに済んだのに。









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