第8章 1つの忠告と1つの勘違い
バンッッ
突き飛ばされて壁に強く打ち付けて
思わず「痛っ…」と声が出る。
『あなた、迷惑だって』
目の前に立つスレンダーな先輩が
腕を組み睨みつけている。
『傍にいるとうざいんだって』
『だから近寄らないで?』
分かるでしょう?
優しく見せたその笑顔は、
私に対して憎悪感しかなかった
迷惑だって。
傍にいるとうざいんだって。
近寄らないで、だって…
私、どうしたら…
章「ちゃん!!」
駆け寄ったのは章ちゃん。
良かった、望はいない
こんな姿見せたら怒るもんね
「章ちゃん、望は?」
章「呼び出しの事はバレてへんよ」
「ならさっきの、秘密に…」
章「ええけど…どうなっても知らんで?」
これ以上、迷惑だって思われたくない。
今の私にはあの家しかない。
だから、傍には極力近寄らない。
章「難しいで〜?」
一緒に住んでるんやろ〜?と
うぅん、と悩む章ちゃん
「嫌われた方が、いいかな」
章「いや。今さら嫌われへんと思うで」
はは、と笑う
確かにちょっと難しそう。
章「僕と付き合ってる体でいってみる?」
「え?」
章「あ、や、その方が望たちとかとさ、
必要以上に一緒に居らん理由に出来るかなあって」
ダメよな〜と
また他の案を考え始める。
「いいかも…」
章「…んぇ!?ほんまにっ?」
「う、うん」
章「望にしばかれへんかなぁ…」
「その時は一緒にしばかれるから」
章「彼氏になった以上、守るからだいじょーぶ!」
しばらくよろしくな、
手を差し出され握手。
これで、いいんだよね…