第3章 失恋
ーーおまけ 望sideー
知っとった。
無意識に追っていた視線も、
それで幸せそうに笑う目も口も顔も
遠くを歩くあいつの隣には、
いつも誰かしら綺麗な女が歩いていて。
それに群がる女子だって少なくなくて
そうして奴は、嬉しそうに笑いながら
みんなに好きだよなんて軽々しく囁いてみせる。
学校には1人ぐらい居るようなチャラ男を、
どうしてが
好きになんかなるねん。
幸せなんてなれたもんやなかった。
不特定多数の交友関係だって、
その中で様々なトラブルを巻き起こしては
悲惨な目にだってあっていること
好きになんてなるなよ。
あんなやつ、好きになんてなんな。
ああ、誰だって良かった。
あいつ以外だったら、誰だって。
キラキラ輝く目も、
嬉しそうに笑うその表情も、
ドキドキして赤らめるその顔も、
全てあんな奴に奪われる。
誰だって良くない、
俺にしろ、俺にしとけよ。
隣で笑うにも、怒るのも、泣くのも。
全部、俺にしとけよ!
望「アホな顔やなぁ〜相変わらず」
「うるっさいなぁ…」
それでもな、俺って卑怯やからさ。
まだ、このままの距離でおりたくて
握りしめたお前の手のひらに伝わるように
そっと軽く、力を込めてみるだけ…