第15章 独占欲と喧嘩
望「素っ気ないことないやろ別に」
誤魔化してその場を逃げようとする望は、
私と1回も目を合わせようとしない
やっぱり何かあるんだ。
望は嘘をつくのが下手くそだからすぐ分かる。
「お昼も帰りも。教室でだって、
私と話してくれなくなったじゃん」
望「そういう日もあるって」
「いつもベタベタしてくるくせに」
望「なんなん?えらい突っかかってくるやん」
「だって…」
望が、冷たくするから。
いつもウザ絡みするし、
引っ付くしヤキモチ妬くし…
だからだから…。
望「お前に関係ないやん」
「え?」
望「ええ年してベタベタせえへんよ。
俺、好きな子出来てん。せやからお前と
ベタベタしてたら勘違いされるやろ?」
その刺々しい言い方に、
一瞬だけ周りの音が消えた気がした。
望「俺は俺、お前はお前、
昔みたいに仲良しこよしにはいかへんで?」
そう言い放った望は
すたすたリビングへと行ってしまった。
「な、にそれ…なにそれ意味分かんない」
散々ベタベタしといて。
甘えてきたり寂しがったり、
それもこれも自分勝手に振り回しといて
「意味分かんないよ!!」
突き放されたって、理解した。
だけど何でかなんて、
私にはまったく分からなかった。
分かりたくなんてなかった。
「……っ」
こんなふうになるなんて、
思っていなかった