第3章 ボディメカニクス
あれから一週間が経ちさやも作曲が終わり、みんなで曲のメロディーや歌詞を確認した。
「クオリティ・オブ・ライフ・・・か。いいんじゃない。」
みんなは口々にそう言ってくれた。
「早速練習してみるか。」
俺はみんなと楽器店に入った。
「ここは俺の親戚のお兄さんがやっているお店なんだ。」
「いらっしゃいませ。って桐生君じゃないか。久しぶりだな。」
お店の中に入るとお兄さんがやって来て俺の登場に驚いていた。
「悪いけど暫く奥の練習室貸してもらえる?」
俺はお兄さんに聞いた。このお兄さんは俺の母親の弟すなわち、おじさんになるわけだが俺は未だにお兄さんと呼んでいる。
「ああ、いいよ。好きに使って。」
「ありがとうございます。」
みんなはそう言うと奥の練習室に楽器を持ち込んで入って行った。結城のドラムだけはここで貸してもらえることになった。
練習室に入るとみんなで確認しながら最初の部分だけ練習に入った。直也が楽譜を見ながらみんなの間違いを指摘していく。
「中々上手くならねえな。」
結城がため息をついた。
「そんな1日で上手くなるわけないでしょう。」
さやは呆れた顔で言う。
こうして俺たちは大学の帰りに楽器店に立ち寄って日々の練習を重ねた。