第2章 診療録管理規定
「それで曲なんだけど歌詞書いてきたから作曲はさやに頼んだぞ。」
俺はさやに書いた歌詞を見せた。
「わかったわ。曲もできたらみんなに見せるわね。そしたら練習に取り掛からないといけないわね。そう言えばみんなは楽器は揃ってるの?」
さやはふと思ったことをみんなに聞いた。
「俺は昔使っていたドラムがあったから使うことにしたんだ。危うくリサイクルに出そうと思っていたからよかったぁ。ひさしブルに叩いて見たけど音の出し方は変わりなかったよ。」
結城はほっと安堵の表情を浮かべた。
「俺はベースをこの間買い直したんだ。前のは売っちゃったんでね。」
悠人は瞳の奥で笑ってみせた。
「私も大丈夫よ。蓮はギター持ってるの?」
さやは俺に聞いた。
「もちろんさ。」
俺は頷いた。
「なんだかバンドらしくなってきましたね。わくわくするなあ。」
直也が嬉しそうだったのでちゃんとグループの担当を決め直して良かったんだと俺は思った。
こうして歌詞は書き終え後はさやの曲作りだけとなった。期限はこれまた一週間。この一週間が勝負の時となる。
そして俺らはお茶しながら楽しく話すことができた。直也とは大学が違うので直也の通っている大学の話もたくさん聞けてよかったし、俺らの大学の話も沢山した。
お会計は割り勘にして外に出るとさわやかな空気に包まれた。
あっという間に5月となり桜の木も緑で覆い茂っていた。
「6月になると雨が嫌なんだよな。」
「あ~6月に雨が沢山振りませんように。」
「じゃあ、てるてる坊主でも作ればいいじゃん。」
悠人が6月と聞き残念そうだったので俺は頑張れ!と励ました。
「誰だってそう思ってるって。でもそこを乗り越えたらバカンスが待ってるぞ。」
「何バカみたいなこと言ってるの?ささっと行くわよ。」
さやが俺の額にデコピンしてくすりと笑った。
「何笑ってるんだよ!」
と俺はムキになってさやに言ったが”別にいいでしょ”と一言で返されてしまった。
その後はそれぞれ家路に着いた。
「6月か。」
俺は悠人の言葉を思い出し呟いた。
雨の季節はやる気が起こらないから憂鬱だなとため息をついた。