第12章 甘い贈り物【加州清光】
【清光】
「ただいま主~、帰ってきたよ!」
遠征から帰ると、いつも出迎えてくれる主の姿はなかった。
「お帰り、お疲れ様」
出迎えに来たのは燭台切と長谷部。
「ねえ、主は?」
「主は今、取り込み中だ」
「ちょっと手が放せなくてね…」
「ふーん…」
珍しい…
いつもは忙しくても来てるれるのに。
そんなに忙しいんだ。
「堀川、主が遠征報告は後にしてくれと…」
「そうですか。分かりました」
長谷部が部隊長だった堀川に声を掛けた。
「皆、お風呂に入っておいで…」
燭台切に言われるまま、俺たちはそのまま浴室へ向かった。
「なんかいい匂い…」
その途中、どこからか甘い香りがした。