第4章 いつかは【一期一振】
【一期】
嫌じゃなかったと、主は頬を赤らめながら言った。
「主、それは…」
期待をしても宜しいのですか?
「今のは忘れて!あ、これ…出来たから渡してくれる」
私に縫い終わった服を渡した。
「私、仕事に戻らなきゃ…」
「主!」
障子が閉まる寸前に私はそれを止めた。
「主、私は…私も主と同じ気持ちでした。でも、私はこの感情をもう押さえることが出来ません」
「一期?」
「私は主の事が好きです」
いつの間にか芽生えたこの感情は恋。
そして、弟たちとは違う愛を主に抱いてしまった。
「私は貴方を主ではなく、一人の女性としてお慕い申してます」
「本当?」
「はい」
「私…私も…一期が好き…です。私の側に居てくれますか?」
「勿論です。一期一振は貴方の側でずっと貴方を愛し、お守り致します」
片膝をつき、片手を胸に主に誓う。
「「「いち兄っ!」」」
私を呼び、バタバタと此方へ来るのは弟たち。
「おめでとう!いち兄!」
「主さまと恋仲になれましたね!」
「主さまとお幸せに」
私を囲み、抱きつく弟たちに私は身動きが取れなかった。
「で、いつ祝言を挙げるんですか?」
そう言ったのは鯰尾だった。
短刀たちがその話に乗っかりいつ?いつ?と、また質問責め。
「まだですよ…」
でも、いつか…
いつかその日が来れば……そう私は願ってます。
主と祝言を挙げるそんな日を。