第3章 大好きな人【加州清光】
【大和守】
今日も主は縁側にいる。
昨日も一昨日もこの時間はずっと…
「主、もうすぐ遠征部隊が帰ってくるよ」
「うん。今行く」
審神者…主としての仕事は以前よりもやるようになった。
長谷部は喜んでいたけれど、僕には何かを忘れるために働いているような気がした。
「主よ、今戻ったぞ」
三日月さんを隊長とする遠征部隊が戻ってきた。
「おかえりなさい」
いつもと同じように皆を出迎える主。
主は三日月さんを連れ自室へ遠征報告を聞きに入った。
数分後、出てきたのは三日月さんだけ。
「主は…」
「今は一人にさせてあげてくれ…俺では力不足のようだ」
ゆっくりと階段を降りていく三日月さんを見送り襖の前に立つ。
「ある……」
主と声を掛けようとした時だった。
「うっ……きよ…みつ…っ」
清光…
加州清光
本丸が出来て、主が審神者になって、最初に出会った刀剣男子。
前主は僕と同じ沖田総司で打刀。
主は清光が大好きで清光も主が大好きだった。
でも今、本丸に清光の姿はない。
どこに居るのかも分からない。
出陣や遠征の度に皆で捜すけど見つからない。
「清光…どこに居るんだよ」