第13章 ライバル【土方十四郎】
痛みで私は倒れ、
動く事が出来なくなった。
意識が朦朧としてくる。
気が付けば敵が剣を構えている。
きっと、トドメを指す気なんだろう。
私は諦めて静かに目を閉じた。
ーーーズバッ
私に痛みは無い。
聞こえてきたのは
敵のうめき声。
ゆっくり目を開けると、
一瞬、"ある人"が現れたと思ったが、
まばたきをすると、土方になった。
夏希「ひじ…か…た……。」
すると土方は、悲しそうな顔をした。
土方「悪かった…。守ってやれなくて」
と涙目で謝っていた。そして、土方さんは涙を隠すように私に背を向けた。
私は、
その時見た。
土方のうなじの傷痕に…。
夏希「土方…!やっぱりあなたが…。」
と言うと、
土方は私の方を向いて
傷に触れないように私を抱き締めた。
夏希「"ある人"は、土方だったんだね」
土方「あぁ、そうだ。ずっと、知らない振りをしていた。」
夏希「どうして?」
土方「お前の泣き顔を見たくなかったからだ。」
夏希「えっ…。」
土方「惚れた女にゃ笑顔が一番だろ。」
私は、土方に何度も謝った。
土方はそれを受け止めてくれた。
そして、私は土方に告白もした。
夏希「私も…土方が大好きだよ…。」