第5章 相合い傘【阿伏兎】
涙が止まらなかった
ぐしゃぐしゃな顔でむせび泣いた。
夏希「ごめ…んなさ…っ」
阿「なにがだ?」
夏希「わ…私っ…阿伏兎…さんの…傘…壊しちゃって…っ…そっ…その上…ぼ、暴走までっ…して…しまって…」
グスグス言いながら説明をした。
どうしよう、怒るかな…。
もしかしたら…ここで…終わりなのかな
そう思うと、また涙が溢れた。
阿「ハア~?なんだそんなことかよ!」
思考が止まった。
夏希「怒ったり…しないんですか…?」
阿「ハァ~…するわけねぇだろ?このすっとこどっこい」
と言って私の頭を
コツンとチョップ
する。
阿「夏希…お前は偉い方だぞ…?団長なんてよぉ、何回も何回も壊して、あげくの果て、俺の傘まで壊しやがった…。」
頬をポリポリと掻いて話す阿伏兎さんの話がおかしくって、笑ってしまった。
夏希「ふ、ふふっ」
すると、阿伏兎さんはフッと微笑んだ。
阿「やっと笑ったなぁ、姫さんよぉ。」
と言って私の頭を優しくなでる。
温かい手に、私の心がドキドキと鼓動を速めていく。