第2章 蕾
すばるくんと出会ってから毎週のようにミナミに一人で行った
自分でもようわからん
名前と歳、仕事
それしか知らん
それでも、また会いたいって思ってた
何回行っても会えんかった
諦めかけてた
ある日、家に帰った時
お母さんに帰って来るのが遅い、勉強もバイトも休みがちで
説教を受けた
何もうまくいかん
イヤになって家を飛び出した
自分でもどこに行きたいんかわからん
ただ無我夢中で電車に乗り込んだ
気付いたらミナミの駅前にいてた
駅前で座り込んでた
携帯見たら終電も無い時間
はっとしたけど、遅くて立ち上がりフラフラ歩いた
すばるくんと出会った川沿い
色んな人がわーわー騒いでた
あたしは、一人の人にぶつかってしまった
「おい!!どこ見とんねん!!」
そう言って腕を掴まれた
『ごめんなさい・・・』
男は、ニヤニヤしながらあたしを見下ろしてた
その時、遠くから名前を呼ばれた
「あん・・・」
振り返ったら、すばるくんが居てた
あたしは、すばるくんに抱き付いた
「お前の女かよ。」
すばる「まー。連れて帰るわ。」
「おう。またな?」
すばる「どないしてん?」
『わからん』
すばる「タクシー捕まえて来るわ」
『・・・』
すばる「なんやねん・・・」
『会いたかった・・・連絡くれへんし・・・自分から連絡とかも・・・なんか・・・』
すばる「やっぱアホやな。お前の連絡先、俺聞いてへんで?」
『え?』
すばる「教えんのイヤそうやったから、俺のんだけ教えた。用あったら連絡来るやろうって思ってたし」
『そうやったんや・・・』
すばる「俺んち来る?」
『えっと・・・』
すばる「抱き付いて来たってことは、そういうことやろ?」
『じゃなくて・・・』
すばる「風邪ひくで?」
自分が来てたジャケットをあたしにかけて
あたしの手を繋ぎ歩き出した
すばるくんの家に行った