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復讐者と殺人鬼【HUNTER×HUNTER】

第11章 探検×休息?×夢の中





天井近くから落ちてくる熱めのシャワーはやわらかい。

備え付けのシャンプーもそれなりにいいものを置いているようで、水に濡れたままの髪でも指通りがいい。

シトラスの香りのそれと同じシリーズのトリートメントを手に取って、髪に馴染ませるように揉みこんでいく。

ニール兄さんの家で使っていたお気に入りのシリーズはハーブ系の香りだったから、何だか新鮮だ。

たまにはこう言う香りも悪くはないかもしれない。

ゴンとキルアを待たせているし、バスタブにお湯をはる時間はないだろう。

もう一度頭からつま先までひと通りシャワーで流し終え、長く伸びた髪を軽く絞る。

ぽたぽたと零れていく冷たくなった雫を見ていると、何故かさっき見かけた女の人のことが思い出された。



殺意にも似た鋭い視線を、キルアに向けていた理由がわからないのだ。

キルアはどこか大人びた雰囲気を感じさせる瞬間があるけれど、それでも年相応の男の子でしかない。

たぶんきっと、そのはずだ。

ヒソカと自分が同類だと言う、キルアの言葉の真意はわからない。

けれど、それが本当のことであったとしても、時折覗かせる優しさも確かにキルアのものなのだ。

それを信じたいと思ったら駄目なのだろうか。

そんなことを考えながら貸し出しのタオルで身体を拭いて、仕方なく今日着ていた服を身に纏う。

試験なんてすぐに終わるだろうと思っていたから、着替えも持って来ていない。

ニール兄さんも、試験が数日かかるものだと教えてくれれば良かったのに。

心の中でそんな恨み言を呟いて、シャワー室を後にした。





ゴンとキルアと別れた場所まで戻ってみたが、そこに二人の姿はなかった。

ここで待っていると言っていたけれど、先にレストランに向かったのかもしれない。

そう軽く考えて、自分のお腹のすき具合も思い出した私は、飛行船の見取り図にあったレストランを目指して歩き出した。



そこで知りたくなかった現実を耳にしてしまうとは知らずに……。





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