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【文スト】対黒

第36章 回向 其の弐・参


―――

一段落つき、社長の快癒祝いのために会場である豪華客船に乗っている探偵社達は、各々、楽しんでいた。


そんな中、難しい顔をして海を眺めている人影が二つ―――


「矢張り一筋縄ではいかない相手だね」

「そうだね」


太宰兄妹だった。


「治……」

「駄目だ」

「……何故?私なら怪我の確率も危険も減る」

「相手はドストエフスキーだ。紬ならば無事だと云う確証は無い」

「それでもっ…!」

紬が言葉を遮るように太宰が紬の手を引き抱き締める。

「紬……」

「……。」

徐々に込められる力に、紬は黙った。


「紬が私を想うように私も紬が大切なんだよ」

「……。」


直ぐに紬を解放し、頭を撫でて、髪で遊ぶ。


「……。」

「……。」

その腕を取ってピッタリと引っ付く。


「……好きにさせてもらう」

「うん」

「治が望んでいる様には…なれないよ?」

「いいよ。無事なら、佳い」

「あまりにも心配させるようなことをするなら、私も同じことするからね」

「ふふっ。判っているよ」

「……。」



会話が途切れる。
二人は険しい顔のまま、海を眺めるのであった――。

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