第36章 回向 其の弐・参
敦達は戦闘に入っていた。
武装探偵社とポートマフィア
その両者の長に盛られたウイルスを操る異能者と衝突していたのだ。
荷運車に乗って逃走するその異能者を追い掛けている時、通信機が漸く音を発した。
『敦君?あぁ 漸く繋がったか』
「太宰さん!」
通信してきたのは此の作戦の立案者の片方、太宰だ。
『花袋君から聞いた。ウイルス異能者を追っているね?奴のウイルスは傷口から感染し高熱と目眩で直立すら困難になる。掠り傷でも受けては駄目だ』
そんな通信の最中にも敵の攻撃は続く。
『首魁たるドストエフスキーは私に任せろ。ウイルス異能者を絶対に逃がすな』
この太宰の指示で、先刻の負傷により
既にウイルスに感染してしまった芥川が攻撃に出た。