第33章 共喰い 其の弐・参
教えられた場所に向かうど丁度良く銃声が響いて、消えた所だった。
くり貫かれた壁の外向かって発砲していたらしい。
そんな様子を見届けて紬は口を開いた。
「おや。取り込み中だったかな」
「「「「!?」」」」
全員が一斉に声のした方を向き、そして構えた。
「紬」
「先日振りです、姐さん」
先刻、広津にしたときと同様にニッコリ笑って挨拶を済ませる。
男たちが再び一斉に発砲を始めた。
「やれやれ」
紬は手を頭に当てて溜め息を着き、
「止めよ!無駄じゃ!」
紅葉は再び大声で男たちを制止した。
紬が弾を適当に叩き落としている間に首領を移動させるように指示を出す。
「移動するなら地下避難室がお勧めだよ。彼処なら探偵社は正面突破以外に道はない。次の体勢を整えるための時間を少しは稼げる」
「……。」
紬の言葉に紅葉は黙り、そしてその通りに指示を出した。
男たちは一瞬驚いたが、命令は命令。
素直に従って去っていく。
「して、何の用じゃ。見ての通り此方も取り込み中じゃ」
「首領が亡くなれば均衡が崩れる」
「!」
紬の言葉に紅葉が目を見開いた。
そして、フッと笑うと紬の傍による。
「茶でも飲むかえ?」
「是非」
2人は首領の居た部屋を出た。