第27章 行き着く先は―――
「お前、何を云ったんだ?」
ジトッとした目で太宰を見る国木田。
「別に?紬は私のだ。他の男に触れさせる気など無いよって云っただけ」
ヘラッと笑って薔薇の花束を拾い上げる。
「花には罪は無いぞ?」
「紬は赤色が苦手なのだよ」
そう云うと事務員の方へ花束を持っていく。
「……意外だな。なんと云うか、見慣れてそうだが」
「見慣れてるからだよ。私が血塗れで帰ってきていたのを」
「!」
そういうことか。
結局は兄妹ともに互いに依存しているが故に。
「矢張り、お前達の仲の悪いところ等と全く想像が着かないな」
「まあ、因果を曲げようとも変わらない結末だった様だしね」
ふふっと笑って答える。
「何の話だい?」
コトッとお茶を置く紬。
兄の分だけでなく、自分と国木田の分もある。
「紬と私の愛について」
「また珍しい話題を。ん?お帰りになったようだね」
キョロキョロとして男の存在が無いことに気づく紬。
「二度と来ないだろうね」
「其れは良かった」
太宰の席に着いて紬もお茶を飲む。
「紬も迷惑していたのか」
「ん?別に眼中に無かったから如何でも良かったけど治の機嫌が悪くなるのはねぇ」
「……。」
深くは訊かないで置こう。
ろくでもない回答がやって来るに違いないから。
この双子の仲を裂こうなんて容易では無いことを改めて思い知った国木田であった。