第24章 神隠しと云う名の
「太宰達が起きてこない」
「昨日ひと悶着あったようですもんね」
概容を掻い摘まんで説明した後、「疲れたから寝る」と云い部屋に入っていった。
今日くらいゆっくりさせてやるべきか。
国木田と敦は2人で朝食を摂ることにする。
女将が2人の朝食を運ぶ。
「大変ですね」
「何がです?」
「お連れ様が2名、行方不明と聞いておりますが」
「いや?アイツ等は只の朝寝坊ですが」
「へっ?」
女将が素っ頓狂な声を上げる。
そして「勘違いでしたー」と去ろうとした女将の腕を容赦なく拘束する。
「その情報、誰から聴いたのか詳しく教えて貰おうか?」
国木田の眼鏡が鋭く光った。
ファンファンファン……
「んぅ……」
サイレンの音で漸く目を開ける紬。
先に起きていた兄は紬の髪で遊んでいる。
「もうバレたの」
「大方、国木田君に要らんことを口走ったんでしょ」
そう云うと軽く口付けを交わす。
「一緒にお土産街道」
「ハイハイ。支度するよ」
2人でシャワーを浴びて着替える。
部屋を出ると廊下に居た警察が2人に気付く。
「君たちは観光客ですか?」
「そうですけど何かありました?」
太宰が訊ねる。
聞く必要など一切無かったのに、だ。
「此処の…」
「太宰!」
警察の言葉を遮って国木田が呼び掛ける。
「「おはよう国木田君」」
「全く。何時だと思ってるんだ」
国木田が溜め息を着く。
「それより太宰、荷物を纏めろ」
「何で。私たちの旅行は此れからだよ。ね?紬」
「そうだとも。折角頑張ったのだから帰らないよ」
「社長も今回は特別に後2日、滞在して良いと許可を下さった。旅館を移動するから荷物を纏めてこい」
「「!」」
国木田の言葉にピクッと反応して紬が荷物を纏めに部屋に戻った。
「嬉しそうだなー紬」
「そんなにはしゃぐ事なのか?」
「今まで旅行なんて行ったこと無いからね」
「……そうか」
こうして探偵社4人は、久しぶりの休暇を楽しんだのだった。