第23章 騙し、見抜かれ、騙されて
「ふーん。軽蔑する?」
「それは無いですよ!」
谷崎がわたわたと慌てて否定する。
「……ナオミに手を出すかも知れないと思ッて」
「……。」
「ハハハ…ボクを軽蔑しますよね」
「いや、君達兄妹はとうの昔にそんな関係だと思っていたけど」
違った事が驚きだよ、と付け加える太宰。
「えェ!?違いますよ!!誤解です!」
凄い勢いで驚き、否定する。
太宰が「冗談だよ」と云って、漸く落ち着く谷崎。
「ナオミには幸せになッて貰いたいンですよ」
「ふふっ。谷崎君は善いお兄さんだねえ」
「太宰さんも紬さんの事、大事にしてるじャないですか」
「そりゃあ愛してるからねえ」
「仲良くて羨ましいです」
「君達兄妹も仲良しでしょ」
「それもそうですね」
そんな話をしながら二人は倉庫街へ足を踏み入れた。
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