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【文スト】対黒

第22章 2つ兄妹、違いは?


外に出るとすっかり日は暮れていた。

「紬さん太宰さんを待…」

「ナオミ!」

紬に話し掛けているところに聞き慣れた、ナオミが一番聴きたかった声が届く。

「兄様!」

「善かッた!無事かい!?」

「ええ。紬さんが居てくださったから」

「紬さん有難うございます!」

「私は大したことはしてないよ。治達が来てくれたのも早かったしね」

ふふっと笑ってナオミの頭を撫でる。

「今日は楽しかったよ」

「此方こそ。本当に有難うございました」

ペコッとお辞儀をする。

「私は治を待って帰るから先にお帰り」

「!」

ニッコリ笑って告げる。

良かった。独りで帰るなんて云うのかと思いましたわ


紬の言葉に安堵して二人はその場を去っていった。


「兄妹、ねぇ」

「羨ましいのかい?あの二人が」


居なかった筈の人間から後ろから抱き着かれるも、驚きもせずに手を重ねる。

「別に」

そういうと背伸びをして太宰の口に自分の口を重ねた。
暫くお互いに貪り合う。

しかし、珍しく太宰から先に離した。

「……これ以上すると理性が保たない」

「随分脆い理性だねえ。私はこの場でも良いよ」

「随分煽るじゃないか」

手を繋いで歩き出した。

「誘き寄せろとは云ったけど無抵抗で服を破かれろなんて云ってない」

「そうだね。此のまま抱かれても良いかなとさえ少し思ったよ」

紬の言葉に思わず手の力を込める。

「………何故?」

「私が他の男に汚されたら治が抱く感情は『軽蔑』か『拒絶』か『狂愛』か。はたまた違うモノか。何れを向けられるのか興味が湧いた」

「……で?」

「今まで通りでなくなる事の恐怖の方が勝って止めた」

「……。」

グイッ

「治?」

道を外れて、建物と建物の間に入る。

入って直ぐに紬を壁に押さえつけると

「んぅ…」

乱暴に口付けを始める。

「軽蔑でも拒絶でも紬が望むがままに幾らでも演じてあげるよ」

ブカブカのトレーナーの中に手を入れ、身体に手を這わせる。


「だから」

「っ!」


紬の敏感なところを触れながら


「二度とそんなこと考えるな」


低い声で告げた。

「ぁ…んっ……」


声を抑えてコクリと頷く紬。
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