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【文スト】対黒

第19章 天の海をゆく白鯨のありて


「組合を倒せる情報が手に入ったって本当ですか!」

敦が勢いよく探偵社に入ってくる。


「今 奥で作戦立案中だよ」

それに気付いた谷崎が応じた。




谷崎の指した奥―――会議室


会議室に座っているのは太宰兄妹と乱歩のみ

「凄い情報ですね」
「値千金だ」

資料を見ながら感心する太宰兄妹とお菓子やジュースを頬張りながら話している乱歩。


とても作戦を考えているとは思えない。

「好きに使え。僕は興味ない」

「これを使って組合の背骨を一撃で圧し折るとすると……潜入から爆弾?」

「はぁ?無理だろ。通信から狙撃で着水して失敗だな」

太宰の提案を否定する。

「「……。」」

シミュレーションしているらしい。
数秒黙り込んで

「「本当だ」」

納得する。


「じゃあ特務課突入から賢治くんだと?」

「無理。地上戦になって痛み分け延長戦」

今度は紬が提案するもキッパリ否定される。

「「ああ……確かに」」

想像が、乱歩が云った通りの結果に成ったようだ。


こんなやり取りを会議室の入り口で黙って観ている敦。


「「となると敦君か」」

資料の紙で飛行機を折りながらシミュレーションする兄と、敦を見ている紬。

「ふぅん。ま、『細雪』を使えば悪くない」

「「ですね……では潜入手段は?」」

「それこそ特務課だな」

紙飛行機を敦の方に飛ばしながら訊ねる太宰に、ドーナツを頬張りながら乱歩が答える。

特務課……ねえ。

少しだけ目を閉じて、立ち上がる紬。太宰も一緒のタイミングで立ち上がった。

「すぐ掛かります。最後は山?」

「海だ」

「「了解」」


「……???」

太宰の紙飛行機がコツンと当たった敦には何の話なのか全く理解することは出来なかった。


一緒に退室する太宰兄妹。

「行きたくないけど私が手筈を整えてこよう。治は潜入の準備に掛かって良いよ」

「珍しく協力的だねえ」

特務課が相手なのに等と笑いながら答える太宰。


「なに。きちんと挨拶しておく次いでだよ」


紬はそう言うと手をヒラヒラさせて去っていった。
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