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【文スト】対黒

第15章 緊急プラン


特務課と接触してから1週間―――

敦の行方も不明なまま、不気味な沈黙が続いた。

「まあ、こんなもんかな」

街をキョロキョロと見渡しながら歩く紬。


準備は出来た―――が。


「私も『Q』を利用していいなら同じことするかなあ」

目の前を黒尽く目の連中が取り囲む。

「尤も。組合ほど犠牲者を出さずに上手くやれると思うんだけど」

どう思う?と笑って目の前の男たちに話し掛ける。


チャキッ


「やれやれ。話し相手になるために来たのではないのか」


返事の代わりに銃を向けられ大袈裟に溜め息を着く。

「姐さんの部隊かな?」

「!」

ザッと見渡して呟くと男たちが反応する。

「還せ」

「それは私に云われても困るねえ。拘束しているのは私ではなく兄の方だ」

「では貴様を半殺しにして交渉材料にするまで!」

「へえー。それは名案だ」

紬がニッコリ笑ってそう云うと同時に、男達が発砲を始めた。

ズガガガ……!


「君達にそれを遂行できる力が無いっていうところを除けば、ね」


「「「!?」」」

弾丸が貫通することなく停止した。


その弾を避けて地面を蹴る紬。

相手の間合いに一気に詰めより、蹴りを入れた。

「がっ!」

男が盛大に吹っ飛び、壁に埋まる。

「下調べ不足だよ。反省し給え」


「真逆…対黒の……」

その様子に怯え始める連中。


まあ仕方無いか、等と呟いて連中に向き直り


「死にたい人からどうぞ?」


冷たく笑って、静かに告げた。

―――

「ただいま」

「……何処をほっつき歩いていたんだ?」

「ふふっ。女には云えないことの1つや2つあるものだよ」

白い袋を提げながら帰社した紬に顰めっ面で問う国木田。

「何を買ってきたんだ?」

「ん?これかい?これはねー」

ガサッと中身を見せる。

…………。

「お前、こんなもんで何する心算だ?」

「これは万が一に備え…て……」

「どうした?」

紬が国木田を見た瞬間に、台詞が途切れ途切れになる。

「国木田君……今すぐ治のところへ行って、その首の痣を見せるんだ」

「首の痣だと?」

鏡で確認する。

見覚えの無い手形の痣―――


「………。」

国木田は何も言わずに、そのまま太宰がいる屋上へ向かった。
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