第12章 The strategy of conflict
「むぁぁ~暇だ~外出たいぃ~」
「今出たらマフィアか組合に頸を捥り取られちまうよ。」
退屈そうにする乱歩にバッサリと言い切る与謝野。
「監視映像に異状は無いか」
「今の処は退屈な映像ばかりだねェ」
映像を見ながら福沢の質問に答える与謝野。
「この講堂は通常入口が存在せず侵入には廃路線を通る他無い。故に敵兵が侵攻して来た時、路線内の監視映像によって事前にそれを知れる。」
「道中は罠も満載だしねェ。この地形で侵掠戦なんて余程の大軍隊でもなきゃ二の足を踏むさ」
「戦争なんて退屈だよ!駄菓子の備蓄は半日で尽きたし……。」
「………。」
そんな話を難しい顔をして聴いている紬。
「何か考え事かい?」
「ん?ああ……一寸ですね」
与謝野の言葉に肯定の意を示す。
「如何したんだい?」
「いや…何。もし、」
「!与謝野さん。此で花札をやろう。」
真面目な会話をしている福沢と与謝野の間に、矢張り退屈そうに乱入する乱歩。
何かを閃いた顔をすると、映像の映っていたノートパソコンを自分の方に向ける乱歩。
「おやおや。何賭ける?」
その乱歩の言葉にニヤリと笑いながら乗っかる与謝野。
「!」
動かしたパソコンの画面を見た乱歩が急に真面目な顔つきになる。
「如何したンだい?」
「社長」
愛用している帽子を被り、福沢に話しかける。
そして、話し途中だった紬の方を見た。
「そういうことか」
「はい。こう云うことですよ」
紬が矢張りと溜め息をついた。
「一体何が……」
「攻勢を呼び戻した方が良いよ」
「敵か」
「!」
与謝野の疑問に乱歩が手短に指示を出した。
「して、襲撃規模は何人だ?」
福沢の問に、乱歩が画面を見せる。
「一人だ」
画面に映っている男は監視カメラの方を見て笑い、
そして間もなく映像は途切れた。