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【文スト】対黒

第10章 連続爆破事件


この双子は思考を共有しているのではないだろうか?


はっ!もしかして……!

国木田の脳裏に1つの推測が過った。


「真逆…お前、紬か!?」


国木田が真顔で太宰に言う。


……………。

ぷっ

「あはははははっ」

「な!そんな笑うことか!?」

腹を抱えて笑い出す太宰に国木田が怒鳴る。

「私が如何かしたかい?」

「「!?」」

バッと勢いよく振り返る三人の前に居るのは紛れもなく紬だった。

つまりは、目の前で今話していた太宰は本物の『太宰治』―――

太宰が笑うのも無理はなかった。


「紬の変装、バレなかったらしいよ」

「変装?……ああ。先日、治に成り済ましていた事かい?」

「そう、それ」

紬が太宰の隣に立つ。

「治が私に成り済ますのは不可能でも、私が治に為り済ますのは可能だからね」

「……何故ですか?」

敦が訊ねる。
この双子ならば反対でも可能な気がするが――


「「身長だよ」」

「「「!」」」


同じ台詞が重なった。


「声も姿も思考も。私も紬に化けることは出来るけれどね」
太宰治が太宰紬の声で話し、

「身長だけはどう足掻いても、伸ばすのは可能でも縮める事は出来ないからね」
太宰紬が太宰治の声で話す。


「「まあ、私たちの事を然程詳しくない連中なら幾らでも騙せるけど」」


どちらがどちらなのか。
混乱をするほどにそっくりだ。
否、同じだと云っても過言ではない――。

「「「………。」

そして完全に混乱している三人。


「ってことで国木田君」

「………なんだ」

「これからはそういうこともあるのだと云うことを覚えておいて損はないと思うよ」

ふふふと笑う太宰。

「………。」

国木田が頭を抱える。

「いや、特に理由もなく治に化けたりなどしないから安心し給え」

「えー。偶にはいいじゃん」

太宰が紬に抱き着く。

「紬!お前ってヤツは……兄とは大違いだなっ!」

「そうかい?まあ、確かに治の方が優しいのだけどね」

「?」

紬の返答に首を傾げる谷崎と敦。


「却説、仕事しよう。治、離れて」

「ハイハイ」


太宰が大人しく紬に従う。
そして二人揃って机に向かうのだった。
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