第10章 連続爆破事件
「そういや太宰」
「んー?」
机に座って読書している太宰に国木田が思い出したように訊ねる。
「お前、何時から目が醒めてたんだ?夜中だったとしてもお前なら人の睡眠など気にせずに連絡の1つくらい寄越してきそうなものだが」
「「あはは……確かに」」
国木田の台詞に敦と谷崎が同意する。
「起きたのは昼過ぎだよ。それから取り敢えず痛み止めを服用してから出掛け――」
「一寸待て!」
国木田が太宰の言葉を慌てて止める。
「如何かしたかい?」
「『如何かしたかい?』じゃない!お前、朝から爆弾の在処を推理して俺達に指示まで出したじゃないか!」
「ふーん」
「いや、太宰さん……ふーんって……」
流石の敦も呆れている。
「私はそんなこと一切してないよ」
「はぁ?そんなわけないだろう!」
「本当だとも。私はあの日、目が醒めたら見知らぬホテルで、ベッドサイドに『○○市××病院跡地』とだけ書かれたメモが在ったから其所に行っただけ」
「「!」」
じゃあ自分達が見たのは一体、誰だ?
三人の表情が険しくなる。
「ふふっ。そう難しい顔をしなくとも考えたら判るでしょ」
「判らんから考えて………。」
「「………。」」
真逆……
「「「紬(さん)!?」」」
「その通りだよ。気付かなかったのかい?」
「気付く、気付かない等のレベルじゃないぞ!?声も姿も完全にお前だった!」
「紬は私に化けるのが得意だからねー」
「えッ!じャあ、ボクが唯一見付けた爆弾を『此れはもう機能しないから、取り敢えず此処に居たまえ』って言って去っていった太宰さんも………」
「紬だね」
谷崎までも驚愕の表情をする。
「そういえば谷崎さんのところに行ってたから遅くなったって紬さん云ってました」
「その後暫くして乱歩さんから爆弾の在処の連絡が有ッて…唯一絶対安全ッて云われた爆弾の前で軍警の爆弾処理班と待機してたンです」
「海に一番近い場所だったのだろう?」
「!……そうです」
見てもいない筈の太宰が言い当てる。
「万が一に備えて逃げれるように、か」
「うん。紬はその辺り抜かり無いから」
「「「……。」」」
ふふっ。と笑いながら云う太宰に言葉が出ない三人。