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【文スト】対黒

第10章 連続爆破事件


「そんだけ判ってるなら仲間に手伝って貰えばいいだろうが」

「そしたら次のイベントが発生しなくなる」

「!」

コイツ――……

「太宰の代わりに他の奴を誘拐させる気だな?」

「大正解」

悪びれずに云うってことは紬の恨みを買ったか……

「殺すのが目的ではないからね、一寸捕まっててもらうだけさ」


ニッコリ笑って紬は答えた。

―――

「んで?」

「ん?」

中也は目の前に座る女に対して青筋を浮かべる。

「何で家まで着いてきてんだよ!太宰と一緒にホテルに泊まりゃいいだろうが!」

「今、治の顔なんか見たくない」

「知るか!手前ェ等の兄妹喧嘩に巻き込まれると、ろくな事ねぇんだよ!」

「まあまあ。ほら」

「!」

そう云って取り出したのは二本のワイン。
以前、侵入者に入られて以来、忽然と姿を消していたモノだった。

「飲もう」

「俺のだ!」

そう言いながらも飲みだした。



「中也は相変わらず酒に弱いね」

「うるせぇ!」

そう云って肩を貸してベッドに移す。

「紬……」

「何だい?」

布団を掛けようとする紬の腕を引く中也

「おっと……」

ポフッと見事に中也の腕の中に納まる。

「ろくな目にあわないんだろう?」

「それでも構わねぇつったら大人しく抱かれるか?」

「ふふ。答えは否だよ」

そう云いながらも大人しく中也の腕に居る。

「治がね……『置いていった』のだよ……」

ポツリと話し始める紬。

「……。」

「想定の中に確かにあったんだ…なのに……」

何も言わずに紬を抱き締める中也。

暫くそうして、漸く口を開く。

「本当、お前たち兄妹は面倒臭ェな」

「共依存だからね、仕方無い」

「太宰が死んだらどうすんだよ」

「え?他殺なら犯人を殺してから。自殺なら直ぐに後を追うけど?」

「何、当たり前のこと聞いてるの?みたいな顔すんな。」

クスクス笑う紬に舌打ちする。

まあいい、と前置いて

「宿泊料くらい寄越せ」

「ん?金とるっ……」

顔をあげた瞬間、中也と唇が重なった。

数秒して、離れる。

紬を腕から解放し、背を向ける。

「貧血でダリィんだろ。早く寝ろ」

「ん。……おやすみ中也」

こうして二人は目を閉じた。
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