第10章 連続爆破事件
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「紬」
「何だい?国木田君」
社に戻って報告書を作成する紬。
太宰は病院に入院しに戻ったのだった。
「お前……異能力者だったのか……」
「うん。云ってなかったっけ?」
「聞いてない。」
首を傾げて訊ねる。
「私の『終焉想歌』は凡るモノの動作または機能を触れただけで『停止』させる異能力なのだよ」
「……『停止』?」
「そ。」
「あ、あの大男が固まったのも」
「私が触れたからだね」
話に加わった敦に返事する。
「絶対に停止するのか?」
「能力を発動していたらね。停止する度合いまで自由自在に操れるよ」
「例えば?」
「時速100000米で突っ込んできた車を録画ビデオの一時停止のように止められる。勿論、私は無傷だよ」
「……万能だな」
「そうでもないさ。例えば飛び降り自殺しようと降ってきた人間に触れても止められはしないし、川に触れたからと云って、その川の流れを止められるわけではないのだよ……一部分なら止められるけど」
「成る程……自然の摂理には反しないということか」
「そう。だからタイマーを止めてはあげたけど、あの操作端末を直ぐに破壊するように言ったのは、パーツをまるっと入れ替えてしまえば動く可能性が有るから。爆弾も然り。爆薬は『存在』しているんだからそれに着火するシステムを組み直しさえすれば元の通りの爆弾に戻るって訳さ」
「成る程な。便利な一面もあれば不便な一面もあるのか」
「そうそう。おまけにもう1つ」
そういうと国木田の肩に手をおく。
「何だ?」
「『独歩吟客』を発動してみ給え」
「?」
云われるがままに「万年筆」と書いたメモをちぎる。
が
「何!?変わらないだと!?」
「ええっ!?」
本人はおろか、周りも驚く。
紬が手をパッと放すと
「!」
きちんと万年筆に変化した。
「何だ!?今のは」
「異能力の発動を『停止』させる場合は停止させたい間ずっと触れておかなきゃならないんだよ」
やれやれと肩をすくめる。
「ま、こんなものかな。私の能力は」
「まあ能力は判った。もう1つ」
「何だい?」
「……何故、彼処に居た?」
「!?」
敦がこの質問に驚く。