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【テニスの王子様】千石清純【裏夢】R18

第3章 お好み焼き



学校にいるとつい身構えてしまって、なんだかこう、隙を作ることが出来ないというか、上手く話せない。

「ほい、お待ちどう」

お好み焼きのタネが入った丼を千石くんが受け取る。

「ちゃんも、焼く?」

「あ、うん、やってみたい」

聞いたくせに私の返答に少し驚いたような顔をする千石くん。

「うん、こっちどうぞ」

丼の一つを受け取る。

「やったことある?」

「家でしかないけど、教えてくれる?」

一緒に、って、なんだか調理実習みたい。

「もちろん。じゃあ混ぜるところから」

空気を入れるように手早く混ぜ、海鮮や肉を先に焼いていく。

手際良く進める千石くんに倣って、私もお好み焼きを焼いていく。

「おっ綺麗な丸になったね、すごい」

「うん」

「で、これ!フタ!」

「フタ?」

「そうそう、フタがあると熱も逃げないから早く焼けるんだよ」

小さなドーム状のフタを被せ、テーブルのタイマーをセットする。

「ちゃん、手際良いね、普段も料理とかしてる?」

「うーん。まあまあかな?朝練あるから、自分で作る日もあるよ」

「そうなんだ!今度俺にも作ってよ!」

「…良いけど、そんな微妙な社交辞令されると、本当に作ってきちゃうよ?」

「社交辞令じゃなくて、本当に作ってくれるなら嬉しいな」

「そうなの?考えておくね」

乗せられちゃいけない。勘違いしちゃいけない。

自分に言い聞かせる。

「ちゃんって、スポ薦?」

「あ、うん、そうだよ」

千石くんがふふ、と笑った。

「その、『あ』って付くのは、話すこと考えながら喋ってる時に出るの?」

「う…」

図星だ。だって、変な返事したら、この楽しい空気が壊れちゃう気がして、考えながら話してる。

「全然良いけど、もっとリラックスしてほしいな」

「うん…ありがとう」

なんだか恥ずかしい。

「千石くんも、スポーツ推薦だよね?」

「うん、ラッキーだよね」

「ふふ、実力でしょ?」

「どうかなぁ?」

おどけて見せるけど千石くんの練習はいつもすごい気迫なの、知ってる。

「でもこの白ランは、すごく気に入ってるな」

「千石くん、似合うもん」

そう言って笑うと千石くんが赤くなった。

「そうかな?なんか照れるなぁ」

なんだかかわいい。
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