第2章 クラスメイト女の子
「私の用は終わったから、千石くんは?行きたいところは?」
「う~ん、ゲーセンは室町クン達に会いそうだし、ケーキ屋は阿久津達でしょ?やっぱりカラオケかなぁ、でもお腹すいた?」
「ああ~少しすいたかも」
「じゃあ食べて帰らない?お家、平気?」
「うん、連絡すれば大丈夫」
「よっしゃ、じゃあお好み焼き食べに行こう!」
「うん」
嬉しそうな笑顔に心臓がぎゅ、と掴まれたように痛んだ。
なんだよこれ、くそ。
「近いの?」
「うん、さんちって、●●町?」
「うん、端っこだけど、●●町の△△」
「あ、やっぱ近所なんだ、俺んちと」
「そうなんだ」
「家から近いよ」
「近くにお好み焼き屋さんがあるなんて知らなかった。千石くんは結構行くの?」
「うん、部活終わったあとに部員達とたまにね。南と東方も2人でよく来てるみたい」
「そうなんだ」
何かを考える素振りを見せたさんに「2人の顔、思い出そうとしてるでしょ」と言うと、さんは申し訳なさそうな顔をした。
「うん、あの二人って、たまに名前間違えそうになるんだよね」
「地味"sだから仕方ないよ」
「じみーず?」
言ってからさんが噴き出す。
「あはっ、ひどい」
「でもほんとでしょ?」
「…うん」
今度は顔を見合わせて笑い合う。
「ちゃんって、教室にいる時と、雰囲気違うよね」
「えっ」
また頬が紅くなる。
「教室にいる時は、高根の花って感じ。声かけにくいっていうか」
いわゆる女子っぽさはなくて、凛とした感じ。
「…実は…昔からの友達は知ってるんだけど、私、人見知りなんだよね。だから学校だと、なんか気を張っちゃって、上手く話せなくて…。友達も、少ないし…お手洗いとか、皆で行くみたいのも苦手で、空気読めないんだろうね、なんか、難しくて」
俯いて、耳に髪をかける仕草が可愛い。
「そうなんだ、今日は、平気?」
「あ、うん、千石くんは本当、女の子慣れしてるからかな?人を笑わせたりするの上手だね」
「あはは…」
俺は君だけを笑わせてあげたいよ…とかは言えない。なんてヘタレなんだ。
でも、この子に浮ついた言葉を投げたくないと思った。