第2章 クラスメイト女の子
「あ、いや、千石くんって、いつも女の子といるから、女の子慣れしてるよねっ」
染まった紅い頬と焦るような様子に勘違いを起こしそうだ。説得力ないってことだよな。
「あ~、うん、どうかな」
曖昧に笑うと、さんは気を取り直したように笑った。ああ、またよそゆきの笑顔だ、こうやって壁を作るのか。
「千石くんは?何色にするの?」
「うーん、やっぱり学校カラーかなぁ、まぁ、日によってラッキーカラーのやつを付けてるんだけどね…」
何色がなかったかなーと呟きながらたくさんのリストバンドを眺めていく。
「これは?」
差し出されたリストバンドは濃いオレンジ。なんか見覚えあるような?
さんを見ると、まだ紅い頬をしていて、少しどきりとする。
「これ、千石くんの髪の色そっくりじゃない?きっと、いつ付けても良いことあるよ」
ふふふと笑って言ったさんは、まぁ、違ったかな?と言ってリストバンドを戻そうとしたので、思わずその手を取った。
驚いた表情をするさん。でも、俺も自分の行動にいま驚いている。
「あ、いや、良いな、と思って、その色。」
焦って言葉を付け足す。
「あ、ほんと?じゃあ、はい」
差し出されたリストバンドを受け取り、同じ色をもう1つ手にした。
「2つ?」
「うん、予備、かな」
「ふうん?」
今度は不思議そうに首をかしげる。
ああ、俺いよいよおかしいかもしんない。
「他にも何か見る?」
「う~ん、時間もったいないし、今日の私の買い物予定はこれだけだから、大丈夫」
もったいないという言葉に、俺との時間を大切にしてくれているのかと思いなんだか顔がにやけそうになった。
「じゃぁ、行こうか。」
リストバンドが包まれた袋を大事そうにバッグに仕舞うさん。
俺も自分のリストバンドをバッグに入れた。
「さて、どこ行こっか」