第2章 開幕
何の変哲も無い、日常。
いつもの青と、白い色が不規則に散らばっている空。
天気予報では夕方から曇りのち雨と報じていた気がする。
都会の喧騒とでも言うべき雑音は、いつもと変わらずに耳に届く。
ビルに映し出されるディスプレイには今流行りのファッションやら、話題の映画の宣伝が流れる。
祭や何かのイベントがある訳でも無いのに人が次々と右から左へ前から後ろへと流れていく。
学生やサラリーマン、遊びや観光で来たのか解らないけどたくさんの人達がそれぞれ言葉を交わす。
笑い声。話し声。セールスの呼び声。CMで流れてくるBGM。着信音。カメラのシャッター音。
そう。
そんな・・・いつもとなんら変わらない、日常がそこにはあった。
また昨日も一昨日も過ごした日常が、今日も明日も続くと思っていた。
───リィン・・・
〝いつも〟の日常に無い、その音を聴くまでは。
──・・・リ-ン
四季「・・・?」
ふと、耳に馴染みの無い音が響く。
耳鳴りか空耳だと思ったけど、一回だけじゃなくてそれは二回三回と何度も聞こえる。
不思議に思って、足を止めて他の人達の様子を伺う。
・・・いつもと変わらずの景色。
周りの人達の様子からすると、これが聞こえているのは自分だけのようだ。
四季「・・・幻聴って事かな。
やっと迎えがきたのかも」
──リィン
そんな訳は無いと思うけど、私は響きやまないこの音に耳を澄ませる事にした。