第2章 開幕
──・・・ギュリ・・・っ
四季「──っ、?」
千代金丸「・・・ん・・・四季?」
脳内に、耳障りな音が流れた。
ざらついた石と石を無理矢理擦り(こすり)合わせたのに近いような、そんな音。
それを聴いた瞬間目の前で何かを喋り始めようとしたこんのすけの声に耳を傾ける事なく、私はある一点を見つめた。
千代金丸「・・・四季・・・?」
こんのすけ「さ、さにわさま・・・?」
私の行動に何事かと視線を向ける1人と1匹。
だけど私は「ちょっと行ってくるね」とだけ呟いて走った。
後ろでワンテンポ遅れて「・・・は?ちょ、四季!」「さ、さにわさまっ!?」とか叫ばれたけど、気にせずただその方向を目指してひた走った。
今までこんなに何かの為に必死になって走った事はあっただろうか。
いや、無い。
そりゃ、私だって人間なんだから走った事のひとつやふたつあるけど。
こんなに・・・全力疾走!みたいな感じに走った事なんて無い。
なんでか解らないけど、行かなきゃ後悔する。気がする。
こんのすけの所に行く時に聞こえたよ鈴の音は、悪い感じはしなかった。
でも違う。
今聞こえた、不快な音は・・・。
──ギャリッ
また、はっきり聞こえた不快音。
そして見えた光景。
私の身体は、考えるよりも早く〝それ〟に向かっていった。
これが、私と刀剣男士(かれら)が出逢うきっかけになるとも知らず・・・。
─────開幕─────