第11章 葛藤
(アリスside)
強烈な痛みと熱さが体を襲い、すぐに私は意識を失った。
再び夢の世界へ降り立つと、これから始まる過酷な運命から逃げるように昔の思い出に浸る。
もしかすると、昔の事を思い出して現実から目を背けようとしたのかもしれない。
地下都市に連れてこられた当初、私の傍にいたのは優ちゃん達ではない。
ここに連れてこられた時にたまたま居合わせた子達と一緒に生活をしていた。
ただ、その子達とは一緒に居るというそれだけの関係。
そんなつまらない生活を3年間続けていた私に、災難が起きたのは突然だった。
当時の私にとっては災難だったが、今考えると優ちゃん達と出会えるきっかけとなったこの出来事に感謝するべきなのかもしれない。
*****
毎日毎日同じ事の繰り返し。
起きて、血を吸引されて、残飯の様な食料を貰って寝る。
ただそれだけを3年間毎日繰り返してきた。
今日もいつも通り血を吸引されて、仲間と一緒に住処へ帰る。
その途中に事件は起きた。
?
「おい、ガキ共」
男の子1
「…え?」
行道を塞ぐようにして待ち伏せしていたのは、ここでは最年長になる16歳の素行の悪いグループ。
この瞬間に私は悟った。
私達のつまらなくも平凡な日々はここで終わりを告げる。
このグループに目をつけられたらお終いなのだ。
彼らを止められるとすれば他の16歳のグループしかいないが、ここでは誰も手を貸さない。
みんながみんな自分が生きることで精一杯だからだ。