第25章 4本の罪鍵
そう言いながらナイフを人差し指で受け止めたフェリド。
彼の視線はナイフや私達ではなく、空へと向いていた。
「何を?」
だからもう話す気がないのかもしれない。
でも私は聞いてみた。
フェリド
「合図だよ」
「…合図?」
フェリド
「そう。この何百年もずっとねー」
何の合図なのだろうか。
それも聞き返そうと思った時だった。
「!!」
背筋が寒くなったと錯覚してしまう程の嫌な感覚。
今まで感じた事のないこの感覚に、私の体は強ばった。
フェリド
「あー、集中してなくてもダメだったか」
クローリー
「これってさっき言ってた鬼の気配?」
フェリド
「そうだよ。僕達でもこんなに感じるんだからアリスちゃんは大変なんじゃない?」
フェリドが言うのならこれが鬼の気配で間違いない。
ただ私が感じ取れるのは何かが起きたという事だけで、どこに鬼が現れたのかはわからなかった。
でもそんな事を考えていたからだろう。
「…あ」
無意識に集中してしまっていたのか、私は深夜達の状態に気づいてしまった。
クローリー
「どうした?」
「…いや、深夜達が」
フェリド
「戦闘不能になってるんだろう?」
「…うん」
深夜達の気配は探知できる。
でも彼らの力はもうほとんど残っておらず、動く事さえままならないように感じれた。