第24章 取り憑いた化け物
暮人が手を上げると、後ろに控えていた研究員達が一斉に動き出した。
暮人
「そのまま連れて行け」
優一郎
「シノア!!」
シノア
「………」
シノアが寝ていたベッドにはキャスターが付いていたので言われた通りそのまま連れ出されるシノア。
焦点が定まらないながらも、シノアは優ちゃんの声に反応して目を合わせた様に見えた。
シノア
「…優、さん」
そう言い残したシノアの姿はもう私達の位置からも見えない。
だから自然と全員の視線がここに残った暮人へと向いていた。
優一郎
「暮人、あいつを救えるのか」
暮人
「………」
優一郎
「俺のせいなんだ!俺を守る為にシノアが化け物に取り憑かれて…!」
そう訴える優ちゃんを暮人は表情を変えずに見つめている。
「優ちゃんも真祖に会ったって事?」
フェリド
「そうなんだろうねぇ」
にわかには信じ難い事だが、フェリドもこう言っているので有り得るのだろう。
暮人
「あれと何か話したか?」
優一郎
「あ?ああ…、話って言うかあいつはずっと前から俺と阿朱羅丸の事を知ってるみたいだった」
暮人
「ずっと前から鬼とお前の事を…?」
更に気になる情報が出た。
しかもそれに関する情報を日本帝鬼軍ですら持っていない。
ミカ
「不用意に情報を漏らしちゃダメだ」
そんな時、優ちゃんを止めに動いたのはミカだった。