第21章 囚われの天使
フェリド
「2人共早くおいでよー」
笑顔で手招くフェリドに反応せず辺りを見渡すが、見た所で情報は手に入りそうにない。
「ここは何?」
だから直球で聞く事にした。
フェリドはともかく、知っている人間がいるのなら教えてくれるはずだ。
深夜
「愛知県名古屋市にある旧一瀬邸だよ」
フェリド
「あーあ、もう言っちゃった」
答えてくれたのは深夜。
求めていた答えがあっさり出た事でフェリドはつまらなそうだが、私は他の事が引っかかった。
「一瀬って事は…」
そこで言葉を止めて一瀬という名前を持つ彼を見る。
グレン
「ん?」
「あなたの家?」
グレン
「ああ、そうだ」
確か鳴海が一瀬家は名家だと言っていた。
この屋敷の広さから金持ちの名家だという事は事実だったらしい。
「………」
でもそんな名家の人達がこんな所に住んでいたのは変だ。
この家の古さは世界が崩壊するずっと前からここにあった事を物語っている。
一瀬 グレンにあまり好感は持てないが、彼にも色々事情があるのかもしれない。
五士
「じゃあ探索するか!」
「え?」
そんな事を考えていた私の思考は閉ざされた。
顔を上げると目の前には笑顔を浮かべた五士。
「えっと…」
美十
「ちょっと!何を言ってるの!?」
答えに困っていると美十と呼ばれている女が咎める様に割り込む。