第7章 地下都市からの脱出
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言われた通りみんなを起こして外に出る。
暗い夜道をミカを先頭に歩いた。
地上にたどり着くまでにどれほどの困難が待ち受けているのだろうか。
出口には見張りの吸血鬼がいるのではないだろうか。
そんなことを考えながら歩き続けた。
だが、5分もしない内に目的地に辿り着く。
優一郎
「早くないか…」
「ここが出口?」
ミカ
「地図によるとそうなるね」
地図をもう1度確認するミカ。
ここまで先導したのがミカだから地図の通りには来れていると思う。
だからここが出口。
そう分かっていながらも、聞いてしまう程の近さだった。
ミカ
「吸血鬼は人間が逃げるなんて思ってなかったんだろうね」
そう結論づける。
吸血鬼がそう思うのも無理はない。
外はウイルスだらけで、頼れる大人は誰もいない。
そんな世界に出ていこうとするなんて普通ありえない。
優一郎
「でも近すぎだろ」
「それだけ馬鹿にされてたんだよ。家畜は逃げる勇気なんか無いって」
優一郎
「それでも…」
それを聞いた優ちゃんが瞳を伏せる。
次に開くと、その瞳はみんなを勇気づける頼もしい光を宿していた。
優一郎
「俺らは逃げる」
改めてその言葉を聞くと、ここから開放されるという実感が湧いてくる。
優一郎
「さあ行こうぜ!」
ミカ
「ああ!」
確かに実感は湧いてくる、でも何故か嫌な予感が拭えなかった。