第19章 蘇生
クローリー
「何をしたかは知らないけど、あんまりいじめるなよ」
グレン
「いじめねーよ。お前らにへそ曲げられたら困るしな」
何をしたのかは話すつもりがないらしい。
だから優ちゃんとグレンへの不信感を残してこの話は終わるしかなかった。
鳴海
「中佐、フェリド・バートリーから聞きました」
現にもう話題は次に移っている。
グレン
「何をだ」
鳴海
「中佐が仲間を蘇生してその罰で世界は滅亡したと」
ではこんな世界になったのはグレンのせいなのか。
私以外はこの事を知っていたのだろう。
誰も驚いていない。
鳴海
「ですがその命も10年しか保たない。滅亡から既に8年、タイムリミットは2年」
世界中を犠牲にしても10年しか蘇生はできなかった。
それも後2年しか残っていない。
鳴海
「つまり柊 深夜や中佐のチームの人間の延命が中佐のやなきゃいけない事ですか?」
グレン
「………」
鳴海の質問にグレンはすぐに答えられなかった。
ただ鳴海の口から出た蘇生した人間の1人に私は驚きを隠せない。
「…深夜」
過去の私と接点があり、私甘えていいと抱きしめてくれた深夜を思うと胸が痛んだ。
「…!」
クローリー
「………」
何かを察したのか、お兄ちゃんが私の頭を撫でてくれていた。
その感触に沈みかけた心を浮上させる。
「…ありがと」