第18章 執着
その事実に気づいた時、吸血鬼の気配を感じた。
サキラ
「あ…」
サキラが声をかけようとするが、扉を荒く閉めた音に遮られる。
どうやら気づかずにどこかへ行ってしまったらしい。
サキラ
「もう…フオラが捕まえろって言うから連れてきたのに」
「………」
フオラは私に何の用があるのだろうか。
捕まえろという言い方的に嫌な用なのには違いない。
?
「させない!!」
サキラ
「!?」
「…?」
次の瞬間、外から誰かの声と金属がぶつかり合う音が聞こえてきた。
この音は戦闘音だ。
サキラ
「何…?」
私を担いだままサキラは走り出す。
玄関の前へ着いた頃にはもう音は聞こえなかった。
フオラ
「が…あ…、裏切り者め…」
代わりに聞こえてきたのはフオラの苦しげな声。
サキラ
「………」
それを聞いてサキラは外に出らずに立ち止まる。
少しだけ扉を開き、様子を見ながら一言一句聞き逃すまいと耳を澄ます。
フオラ
「フェリド様がこんな事を許すはずが…」
クローリー
「残念」
「!」
フオラに答えたのはお兄ちゃんだった。
クローリー
「フェリドくんが殺せってさ」
サキラ
「…!」
動揺したサキラの手から力が抜ける。
「うっ…」
そのせいで地面に落とされ、痛みが走った。
これでは解放されたのに動けない。