第18章 執着
(アリスside)
サキラ
「ちょっと、起きてよ」
「ん…」
揺すられて意識が戻る。
薄らと目を開けると目の前にはサキラがいた。
「…っ!」
この吸血鬼相手に無防備にしていられない。
起き上がろうとするが脇腹が痛んで動けなかった。
サキラ
「起き上がらなくていいよ。凄い血が抜けてるみたいだから」
「……」
そう言われて素直に頷ける訳が無い。
どうするべきか考え始めた時、私の体が持ち上げられた。
「ぅわ…」
サキラ
「あは、流石にこれじゃ抵抗できないね」
そう言って笑うサキラに嫌な予感しかしない。
「…どこに行くんですか?」
サキラ
「………」
期待していなかったが、答えは返ってこなかった。
このまま連れていかれて大丈夫なのか。
フェリドとお兄ちゃんはどこに行ったのか。
様々な疑問が浮かぶが、尋ねたところで教えてはくれないだろう。
「………」
お兄ちゃんとの約束で吸血鬼を勝手に殺す事はできない。
だが有事の際には少しでも抵抗できるように力を残す為、私は体の力を抜いた。
*****
「大阪…?」
周りを観察していて気づいたが、ここはいつもの屋敷ではない。
いつもいるのは地下都市の屋敷だが、ここは確か大阪にある屋敷だ。
どの屋敷も私の部屋と外観は同じ様にしてあるから気づけなかった。
「!」