第5章 フェリド・バートリー
少し歩こう、そう言うとミカは歩いていく。
そして私が横に並んだ事を確認すると、ゆっくりと話し始めた。
ミカ
「優ちゃんが怒るのもわかるよ、相談もしないであんな事してた訳だし…家畜みたいな扱いされる事を1番嫌がってたからね」
「でも…相談すれば良かったとは思ってないでしょ?」
ミカ
「そうだね、優ちゃんは優しいから僕がみんなの為にやっていると知れば自分もって言い出すだろうし…」
そう遠くを見つめながら話すミカの目は、とても優しい。
それは優を思う気持ちと家族を守りたいという強い決意の現れだろう。
だがその瞳はすぐに消え、真剣な表情になる。
ミカ
「でもね、血の提供は必要な事だって考えはみんなの為にも変えれないよ。それを優ちゃんが分かってくれればいいんだけど…」
「……優ちゃんなら大丈夫だよ」
ミカの悲しそうな表情を見て思わずそう言っていた。
その気持ちを絶対に優ちゃんは分かっている、そう言いそうになったがそれは堪えた。
これは私が伝えるべき事ではない。
そもそもミカも分かっているはずだ。
だからなのか、私の言葉を聞いてその表情に笑顔を戻す。
ミカ
「まぁ優ちゃんはなんだかんだで僕に甘いからね。結局最後は折れてくれるよ」
そしてそう楽しそうに言った。