第16章 名古屋決戦
(ミカside)
何故僕はこれを見させられているのだろうか。
優
<うああああああ!!!>
ミカ
「…っ」
目の前で流れるのは大切な人の叫び声。
そう、これは先日の新宿での映像。
化け物へと変わる優ちゃんを見ると、痛む事を忘れたはずの心が悲鳴をあげた。
第五位始祖
「おい。なんだ今のは」
第四位始祖
「あれが実用化されたらまた世界は…」
その映像を見た吸血鬼達の焦りがモニター越しでも伝わってくる。
今は上位始祖会という上位始祖達の集会中で、僕の目の前にはたくさんのモニター。
そしてフェリドとクルルがいる。
明らかに場違いな僕はフェリドの後ろで黙っていた。
フェリド
「なんと人間は禁忌の魔術、終わりのセラフの兵器化に成功しつつあります。これは由々しき問題ではないでしょうか?」
クルルの方を一瞥し、丁寧に上位始祖達に告げたフェリド。
その言葉に第四位始祖が反応した。
第四位始祖
「あの研究はクルル・ツェペシ様が百夜教を壊滅させることで止めたはずではなかったのか?」
クルル
「ああ、確かに私が止めた」
名前を出されたクルルは表情を変えずに至って冷静だ。
これまで話がよく分からない僕だったが、クルルの次の言葉には反応せざるを得なかった。
クルル
「百夜孤児院で研究されていた終わりのセラフの因子を持った子供。あれは私がこの手で殺した」