第15章 特異な存在
深夜の事を話さずにここを切り抜ける方法として可能性があるのはただ1つ。
「………」
それは黙秘だ。
そんな私の態度を見てフェリドは不満げな表情。
こうなった私は何をしても話さないと分かっているフェリドは諦めてくれる。
それを信じたのだが、今回はそうはいかなかった。
フェリド
「じゃあクローリーくんが戻って来たら話してよ」
「なんでお兄ちゃん?」
思わず反応を示した私に、ニヤリとでも聞こえてきそうな笑顔を見せたフェリド。
彼の思い通りになってしまった事に腹立つが、ここは我慢をした。
フェリド
「僕よりクローリーくんに聞かれたら答えるかなーって」
「…確かに」
フェリドかお兄ちゃんのどちらかに話さなくてはいけないのなら私は迷う事なくお兄ちゃんを選ぶだろう。
だからフェリドの言っている事は間違いではない。
「お兄ちゃんか…」
でも今回の件では別だ。
深夜を中途半端な形で逃がした。
そんな事を話したら絶対に怒られる。
フェリドは基本そういう事では怒らない。
ならばお兄ちゃんではなくフェリドに話すべきだ。
「…話す」
フェリド
「あ、そう?」
これは意外だったのか、フェリドは少し驚いた表情を見せる。
私も話さなくていいのなら話したくなかった。
そんな思いを込め、渋々今回の任務での出来事を話し始めた。