第5章 フェリド・バートリー
フェリドはずっと笑顔。
貴族ではない吸血鬼を連れて、ミカと話しながらこちらへ近づいてくる。
フェリド
「今夜も僕の屋敷に来るのかい?」
ミカ
「はい!お願いします!」
ミカも相変わらず笑顔。
一見笑い合って和やかに見える2人の空気だが、よく見るとお互い心から笑っていないようだ。
フェリド
「いい子だねぇ…君の血は美味しいから大歓迎だよ」
フェリドはミカの頬に手を滑らせ撫でる。
やはりこの貴族の吸血鬼にミカは血を提供しているみたいだ。
当たってしまった嫌な可能性。
警戒を一層高めた時、フェリドは私の方を見てニヤリと笑った。
「ひっ…」
私に向けられた笑顔に恐怖を覚え、思わず声が漏れる。
そんな私の態度を見て一層笑みを深めると優ちゃんの方を見た。
フェリド
「今日はそっちの子達も来るのかな?」
優一郎
「は!?」
「…っ!」
獲物を見るような目に何も言えずに固まってしまう。
優ちゃんはそんな私を庇うように前に出て、言い返そうとした。
優一郎
「そんなの行くわけ……むっ!」