第13章 日本帝鬼軍
(フェリドside)
新宿での戦いが終わり、静かになった夜。
そんな暗闇の中、僕は廃ビルに立っていた。
この風が吹き抜けるビルからはあの戦場が見える。
今日はあそこで何人の人間の命、そして吸血鬼の生命が奪われたのだろうか。
フェリド
「あは」
それを想像すると思わず笑顔が漏れてしまった。
別に命を冒涜している訳では無い。
命を失ったのはそれだけの実力だっただけで、仕方の無い事だ。
現に初の戦場でもアリスちゃんは生きて帰った。
戦闘していないとはいえ、あの柊の人間に狙われてだ。
流石あの人の血の力と言うべきだろう。
僕が笑ったのはあまりにも順調に、僕らの思い通りに事が進んでいくからだ。
フェリド
「相変わらず暴走していく人間の欲望、全てを侮る吸血鬼の傲慢さ。君はどう思う?」
だからこそこれからどう動くのか想定しやすいのだが、敢えて質問してみた。
フェリド
「僕の楽しいパートナーくん?」
振り返って顔を見るが、彼は何も言わない。
相変わらず連れない態度にやれやれと思いながら、彼に約束の物を差し出す。
フェリド
「はいこれ、こっちの研究資料」
これから更に楽しくなるはずだ。
そう思い、表情を変えない彼に向かって笑った。