第4章 家畜
ミカ
「やってないに決まってるでしょ…」
「あ…そうなんだ」
その質問に答えてくれたのはミカ。
たまに腹筋をしていたのを見た事はあった。
でも腕立て伏せは12歳の優ちゃんにはキツかったようで出来なかったらしい。
ミカ
「で、そもそもの話だけど」
それた話を戻すようにミカが軽く咳払いをして優ちゃんへと視線を向ける。
そしてまた説教のような説得を始めた。
ミカ
「人間の身体能力は吸血鬼の足元にも及ばないってさっき話したでしょ?」
桁外れの身体能力。
これが吸血鬼にかなわない最大の理由であり、優ちゃんが納得をせざるをえない理由。
その事を言うと優ちゃんの表情は怒りと悲しみが混ざったようで、見ているこちらが辛くなった。
優一郎
「お前…じゃあどうするんだよ!?」
どうしても埋める事が出来ない吸血鬼との実力差。
その事を言われてカッとなった優ちゃんは、苛立ちをぶつけるように怒鳴った。
「………」
怒鳴られたミカはどうするのか、何も言えずにミカを見るとそこにはいつも通り穏やかな表情のミカがいた。