第13章 日本帝鬼軍
2年後、私は15歳になった。
ミカには会えていないし、未だに人間の血も飲んでいない。
でも平凡に吸血鬼として4年間を過ごした。
だが、フェリドの計画が本格的に動き出した事によってその平凡な時は幕を閉じた。
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(フェリドside)
ここは第三首都、地下都市サングィネム。
僕はとある吸血鬼を探して人気の無い建物へと足を踏み入れていた。
フェリド
「やっぱりここにいましたか、報告聞きました〜?」
声を掛けたのはフードを深く被って顔を隠している吸血鬼。
彼は僕に背を向け、振り返ろうとしない。
フェリド
「君がずっと捜していた大切な天使くんが見つかったらしいですよ。思っていた通り、汚い人間に利用されてました」
物語を紡ぐようにわざと丁寧に話しながら彼の反応を確認する。
こちらを見る事は無いが、僕の話に耳を向けているのが分かった。
アリスの事もあって僕と話したくないのにこの話題だと聞いてしまう。
そんな彼が可愛くて顔がニヤけそうになりながらも、彼の愛しの天使の名前を出した。
フェリド
「百夜、優一郎くんがね…」
その名前を口にした瞬間、彼は振り返り剣を向けてくる。
でもその剣が僕に当たる事は無い。
そもそも彼は当てるつもりも無い。
だから僕も笑顔を消さないで話を続ける。