第4章 家畜
優一郎
「そりゃ決まってんだろ!強くなって吸血鬼どもぶっ殺すんだよ!」
優ちゃんはミカの質問に即答した。
ミカ
「はい出たアホ発言」
「はは…」
ミカも答えが分かっていたようで呆れたように言い返した。
私ももう何度も聞いたこのやりとりにまた苦笑いが出る。
ミカ
「人間が吸血鬼より強くなれるわけないでしょ?頭使ってよ」
優一郎
「んなのやってみなきゃわかんねーだろ!?」
ミカ
「いやいや、分かりまくりでしょ」
優ちゃんが熱くなって訴えかけるがミカは冷めた様子で返す。
そんな会話を聞きながら優ちゃんが読んでいた本をパラパラと流し読みしていると気になる文章を見つけた。
「でもやっぱり吸血鬼に勝つのは難しいよ。この本に書いてあるけど、人間の身体能力は吸血鬼の7分の1しかないんだって」
優一郎
「関係ないね!だったら頑張って7倍以上強くなりゃ…」
吸血鬼
「じっとしていろ」
言葉の途中で優ちゃんは吸血鬼にグッと肩を掴まれて動きを止められた。
私達の順番がきたみたいだ。
優一郎
「痛っ!!」
ミカ
「うっ」
「…っ!」
針のような装置で刺されブチッと肉が裂ける音が耳に届く。
その痛みに顔を歪めた。