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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第14章 誘拐




ハワード卿の屋敷での晩餐が終わり

ジルは案内された客室で一人
書類に目を落としていた。


今頃プリンセスとハワード卿は
蜜月の時を過ごしているのだろう。


そんな時くらいは
二人には羽を伸ばして楽しんでもらいたい、と

ジルは心からそう思っていた。




コンコンコン

「ジル様」

ユーリの声だ。ひどく焦った様子だ。

「はい」

扉が開かれ
そこには、ユーリとルイの姿があった。

「ハワード卿まで…どうされたのですか」

「…さっきセバスチャンがバルコニーに来たんだ」
ルイの肩には、王宮で見慣れた赤い羽根のオウム…セバスチャンが乗っている。

「ジル様…セバスチャンの脚にレオからの手紙が…」

ユーリが小さな紙切れをジルに差し出す。


その文面を見るやいなや
ジルの顔はみるみるうちに青ざめていった。



「……正面玄関に一番速い馬を用意した…使って」

ルイは淡々と、冷静な声色で告げた。

「ジル様、ルイ様とプリンセスのことは俺に任せてください」

ユーリが力強く言葉を重ねる。




ジルは二人の顔を交互に見て頷くと

屋敷の玄関へと走った。













(んん…ここは)

イリアは気がつくと
薄暗い部屋の中にいた。

見たことのない部屋だ。
目が慣れてくるに連れて辺りの様子が見えだす。


どうも
どこかのお屋敷の客室のようだった。


(あ……)

イリアは自分の手足が拘束されて椅子に座らされていることに気づく。

(私……王宮の私室で……)

突然入ってきた見知らぬ男に
薬の染み込んだ布を嗅がされ、意識を失ったんだ…

微かに頭痛がする。


(ここ、どこなんだろう……王宮ではなさそう)



窓の外はすっかり夜になっていた。

イリアの座る位置からも、僅かに星が見える。




(…自分のこととなると、こうも予測がつかないとはね……)

星詠み師なのに…
置かれている状況の酷さに、イリアは笑いがこみ上げる。

(バカみたい……)


すると突然
前触れなく部屋の扉が開き
明かりが灯された。


(ま、ぶし………)


「お前が…未来予知のできる星詠み師か」


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